日本経済の発展を支える中堅企業は、スタートアップと大企業の間に位置し、高い成長ポテンシャルを持っています。しかし、デジタル化の遅れ、人材確保の難しさ、海外展開の課題など、解決すべき問題も多く存在します。これに対応するため、経済産業省は中堅企業向けにさまざまな支援策を展開しています。本コラムでは、主要な施策とその活用ポイントを解説します。
1. 中堅企業とは?
中堅企業は、一般的に大企業と中小企業の中間に位置する企業を指します。明確な法的定義はありませんが、経済産業省では次のような基準を用いることが多いです。
- 従業員数: 300人以上1,000人未満
- 売上高: 数十億円〜数百億円規模
- 資本金: 数億円〜数十億円
これらの企業は、国内市場での競争力を持ちつつ、グローバル展開やデジタル化推進に向けた戦略を必要としています。
2. 中堅企業向け施策一覧
中堅企業等成長促進事業
- 目的: 企業の持続的成長を促進し、新たな市場への進出を支援する。
- 対象: 一定規模以上の中小企業または中堅企業(従業員数500人以上など)。
- 支援内容:
- 事業計画策定支援
- 新市場開拓支援
- 資金調達サポート
- M&Aによる成長支援
- 活用ポイント: 事業拡大を図る企業が、M&Aや海外展開を進める際に有効。
事業再構築補助金(中堅企業枠)
- 目的: 事業の転換や新規事業開発を支援。
- 対象: 売上減少や市場環境の変化に直面する中堅企業。
- 支援内容:
- 事業転換・業態変更に必要な設備投資支援
- システム導入・デジタル化支援
- マーケティング支援
- 活用ポイント: 成長市場への参入や新規事業の開発を検討している企業に最適。
中堅企業向けデジタル化推進支援(DX支援)
- 目的: デジタル技術の活用による業務効率化と競争力強化を促進。
- 対象: ITシステムの導入やDX戦略を検討している中堅企業。
- 支援内容:
- AI・IoT・クラウドシステムの導入補助
- 専門家派遣によるDX支援
- サイバーセキュリティ対策補助
- 活用ポイント: 生産性向上やデータ活用を通じた経営の高度化を図る企業向け。
中堅企業海外展開支援
- 目的: 中堅企業のグローバル市場進出をサポート。
- 対象: 海外進出を計画している企業。
- 支援内容:
- 海外拠点設立支援
- 現地市場調査
- 販路開拓補助金
- 通関手続き支援
- 海外M&A支援
- 活用ポイント: 販路拡大や海外生産拠点の設立を目指す企業に適用可能。
事業承継・M&A支援
- 目的: 円滑な事業承継やM&Aによる企業成長を支援。
- 対象: 事業承継を計画している中堅企業やM&Aによる成長を検討している企業。
- 支援内容:
- 承継計画策定支援
- M&A仲介費用の補助
- 事業統合後の経営支援
- 株式移転支援
- MBO(マネジメント・バイアウト)支援
- 活用ポイント: 次世代への事業承継や成長戦略としてのM&Aを活用したい企業向け。
ものづくり補助金(中堅企業特別枠)
- 目的: 製造業の技術革新と生産性向上を支援。
- 対象: 競争力のある技術開発や生産プロセス改善を目指す企業。
- 支援内容:
- 設備投資補助
- 試作開発費用の補助
- 新技術の研究開発支援
- 環境負荷低減技術の導入補助
- 活用ポイント: 高付加価値製品の開発や最新設備導入を目指す企業に最適。
知的財産活用支援
- 目的: 知的財産の取得・活用による競争力強化を支援。
- 対象: 特許、商標、意匠などの知的財産を活用して事業展開を図る中堅企業。
- 支援内容:
- 知的財産取得支援
- ライセンス契約支援
- 海外特許出願費用補助
- 活用ポイント: 自社の技術・ブランドを強化し、国内外市場での競争力を高めるために有効。
まとめ
中堅企業は、日本経済の成長を牽引する重要な存在ですが、その成長を持続させるには適切な支援策の活用が不可欠です。政府の支援施策を活用することで、デジタル化推進、海外展開、事業再構築など、多様な経営課題に対応することが可能になります。自社の成長戦略に合った施策を選び、積極的に活用していきましょう。

辻村裕寛(つじむらやすひろ)代表取締役兼CEO
IT系ベンチャー企業、SIer、コンサルティングファームを経て独立起業。現在は、働きがいと豊かさで次世代が夢を描ける社会を創るをMissonに、企業業と働く人々へのコンサルティングで持続的な変革を支援し新しい価値を創造ことをvisionに掲げ活動しております。お客様には①「変化を見抜き価値を創る」コンサルティング、②「学びで育む次世代の成長」を支える研修講、③「知恵を届け未来を動かす」執筆サービスを価値としてお届けしております。