最近、「コンサルティング」という言葉を耳にする機会が増えていると感じる方も多いのではないでしょうか。しかし、その意味や具体的な役割を理解している人は意外と少ないかもしれません。そこで今回は、「コンサルって、実際何をしてくれるの?」という素朴な疑問に答えるとともに、コンサルティング会社が提供するサービスの本質について詳しく説明していきたいと思います。
【目次】
①コンサルティングの語源と起源
②コンサルティングサービスとは最適な解決策の立案
③コンサルティングの核心業務
④お客様のそばに寄り添い、悩みの目線を合わせて相談に乗る人間、です!
①コンサルティングの語源と起源
コンサルティングの語源には諸説ありますが、ラテン語の「consultare」に由来すると言われています。「consultare」は「相談する」や「助言を求める」という意味を持ち、さらに「con-」(共に)と「-sultare」(跳ねる、またはよく考える)の2つの要素に分解できます。つまり、語源を辿ると、コンサルティングは「共に考える」や「相談して助け合う」を表す言葉と言えるでしょう。
「コンサルティング」と聞くと、なんだか難しそうに感じる方も多いかもしれません。しかし、その本質は「お客様のそばに寄り添い、悩みの目線を合わせて相談に乗る人間」なのです。このように捉えると、コンサルタントをより身近な存在として理解できるのではないでしょうか。
現代の経営コンサルティングの起源は、フレデリック・テイラーの科学的管理法にあるとされています。簡潔に言えば、工場の作業内容を分析・標準化し、成功報酬を導入することで作業員の生産性を向上させたというものです。しかし、この手法は人間を機械のように扱う業務を生み出したため、人間性を軽視したという批判も受けています。あくまで結果から推察すると、テイラーは工場の経営者目線で稼働率の効率化を追求できたものの、現場の作業員の視点を十分に考慮できず、結果として現場からの反発を招いてしまったのかもしれません。
このように誕生したコンサルティングは、長い歴史と多様な取り組みを経て、現在では幅広い分野でサービスが提供されています。経営、事業、業務、IT、人事、組織など企業活動に関するコンサルティングはもちろん、最近では結婚コンサルタントのような、企業活動に限らない特定分野のコンサルティングも登場しています。「コンサルタントって、具体的に何をしてくれるの?」という疑問に舞い戻るかもしれませんが、その本質は変わりません。コンサルタントとは「お客様のそばに寄り添い、悩みの目線を合わせて相談に乗る人間」なのです!
②コンサルティングサービスとは最適な解決策の立案
コンサルタントが「お客様のそばに寄り添い、悩みの目線を合わせて相談に乗る人間」であることはご理解いただけたかと思います。しかし、「実際何をしてくれるの?」という疑問にはまだ答えきれていませんので、具体的に説明させていただきます。今回は、多岐にわたるコンサルティングの中でも、企業活動のコンサルティングサービスを一例として取り上げます。(なお、当社では婚活コンサルティングは扱っておりませんのでご了承ください。)
コンサルタントの役割を抽象化すると、下図のようなイメージになります。シンプルに表現すれば、コンサルティングの目的はAの部分に相当します。つまり、現状を把握し、目指す姿や実現したいことと現状とのギャップを明らかにし、取るべき行動の示唆を提供することです。例えば「社内業務を効率化したい」と”やりたいこと”があれば、コンサルティングに入ってもらい実現を支援してもらう、そんなスタートでコンサルティングをお願いする企業もいます。
次に注目すべきはBの部分です。ここでは、目指す姿や実現したいことと現状とのギャップを明らかにし、解決策を立てる作業を行います。これこそがコンサルタントに依頼すべき核心業務です。「ギャップ」とは、簡潔に言えば目前の問題のことです。例えば、「社内業務を効率化したい」という目標に対し、現状が「精算処理に時間がかかる」場合、そのギャップ(≒問題)は「紙媒体での精算処理により、印刷や申請書記入に時間を要している」といったものです。しかし、表面化している問題には多様な要因が複雑に絡み合っており、根本原因の特定は非常に困難です。さらに、根本原因を正確に把握できていないと、的外れな解決策を立ててしまい、目標の実現が危ぶまれる事態に陥る可能性があります。
③コンサルティングの革新業務
前章で”コンサルティングの核心業務”と表現しましたが、ギャップを明らかにし解決策を立てる作業は、コンサルティング業界でも「頭に汗をかく時」と言われています。その主な理由は、問題から解決策を設定する過程で、企業の様々な人にヒアリングを行い、膨大な情報を収集・整理する必要があるからです。想像に難くないでしょうが、例えば職階別で本部長、部長、課長、係長それぞれと対話したり、営業、工場、物流、企画など部署ごとにヒアリングを実施したりします。コンサルティングの対象範囲が広がるほど、ヒアリング先も増えていくのです。
そうすると、必ずと言って良いほど、ヒアリングする人ごとに話す内容が異なるという現象が発生します。これは課題解決型、新規事業検討、PMO型のプロジェクトなど、様々なコンサルティングサービスで見受けられます。もちろん、ヒアリングを受けてくださる方が嘘をついているわけではありません。それぞれの人が自身の立場、視点、時間軸に基づいて、さまざまな情報を提供してくれるのです。
そのため、我々コンサルタントは一見矛盾しているような内容を適切に構造化し、どの要素が関連しているのか、どこで意見の相違が生じているのかを整理します。この作業はファクトファインディングと呼ばれ、コンサルティングサービスを構成する重要な要素の一つです。もちろん、関係者からいただく口頭情報だけでなく、様々なデータシートを並べてながら問題を探る場合も多くあり、データ分析スキルも必須です。情報を収集するコミュニケーションスキル、情報を構造化するスキル、解決策を立てるスキルなど、様々なスキルをフルに活用してはじめて、問題に対して解決策を立てることができるのです。
④お客様のそばに寄り添い、悩みの目線を合わせて相談に乗る人間、です!
ここまでコンサルティングサービスについて説明してきましたが、時折「コンサルティングって、話を聞いて、資料を作り、提案して、高額な請求をして帰るだけの仕事でしょ?」と言われることがあります。確かに、多くの方から話を聞き、それを整理して資料化し、サービス業の中では比較的高い対価をいただく仕事であることは事実です。
しかし、冒頭でもお伝えしたように、コンサルタントは「お客様のそばに寄り添い、悩みの目線を合わせて相談に乗る人間」です。そのため、お仕事をご依頼いただいた際には、まずお客様の業界、ホームページ、有価証券報告書、B/SやP/Lなどを精査し、お客様の悩みに寄り添える状態で業務に臨みます。また、関係者との対話に向けて「何が本当の悩みなのか?」と、お客様の視点に立って課題の仮説を立てます。お客様の状況を深く理解し、悩みを共に考えられるパートナーになること——それこそがコンサルタントの本質だと言えるでしょう。
自社で解消できる問題にはコンサルタントは不要ですが、自社だけではどうしても解決できない、何か新しいことを目指してみたい、ちょっと相談してみたい!と思う瞬間があればコンサルティングサービスは有効です。是非一度、コンサルタントと壁打ちをしてみてください。