生成AIのモデルは高性能なものほど利用単価が高く、「どれを使えばいいのか」で手が止まる——そんな声を、経営者やコンサルタント仲間からよく聞きます。本コラムでは、2026年7月にあった最上位AIモデル(Claude Fable5)の期間限定開放を「使い切る」ために弊社が実践したことを題材に、コンサルタント自身がAIで効率化するための「モデルの使い分け」と「AI業務基盤への投資」の考え方をご紹介します。
「どのAIを使えばいいのか」で手が止まっていませんか
生成AIの選択肢は、この1〜2年で一気に増えました。同じサービスの中でも、標準モデル・高速モデル・最上位モデルとグレードが分かれ、性能が高いものほど利用単価も高くなります。
「高いモデルを使えば速く終わるのか、それとも安いモデルで十分なのか」。この問いに答えを持たないまま、なんとなく同じモデルを使い続けている——経営者の方だけでなく、私たちコンサルタント自身にも、思い当たる節があるのではないでしょうか。
弊社がこの問いに正面から向き合うきっかけになったのが、2026年7月にあった「Claude Fable5モデルの期間限定開放」でした。
背景:最上位AIモデルが1週間だけ無料開放された
2026年7月1日から7日まで、米Anthropic社は最上位AIモデル「Claude Fable 5」を、開発支援ツールClaude Codeの有料プラン利用者向けに追加費用なしで開放しました。週次の利用枠の一部までという条件付きで、期間終了後は従量課金(標準モデルの2〜5倍の単価)に切り替わるという内容です。
「数日間だけ、普段は高価な最上位モデルが使い放題に近い状態になる」。この制約が、かえって良い機会になりました。限られた枠を何に使うかを決めることは、そのまま「AIの使い分け方針」を言語化することだったからです。
実践:弊社が期間中にやったこと
1. まず現状を確認する(5分で終わる準備)
最初にやったのは、ツールのバージョンと利用枠の残量の確認です。無料開放分は全体の利用枠との合算だったため、すでに枠を使い切っていれば恩恵は受けられません。地味な作業ですが、「使える量を把握してから配分を決める」のは、経営資源の配分と同じ出発点です。
2. 重量級の仕事に集中投入する
最上位モデルの真価は、数時間から数日かかる「重量級」の仕事で発揮されます。弊社では、業務の仕組みの構造整備や、方法論・テンプレート群の一括整理といった、標準モデルでは何度もやり取りが必要な仕事を期間中に前倒ししました。
単価だけを見ると高く感じますが、「何往復もかかる仕事が1回で終わる」なら、タスク単位のコストではむしろ安くつくことがあります。
3. 「AIの使い方を良くする仕事」に投資する
もう1つ、意識的に枠を割いたのが、AIそのものの業務基盤を整える「メタ作業」です。具体的には次の2つです。
- AIスキルの点検・デバッグ:弊社では定型業務の手順をAI向けのマニュアル(スキル)として整備しています。指示があいまいな箇所や、実行時に期待通り動かない箇所を、最上位モデルの読解力で一括点検・修正しました
- 業務ツールとAIの連携最適化:NotionやGmailなどのツールとAIをつないでいる場合、検索条件や取得件数の設定が甘いと、無駄な読み込みで処理が遅く・高くなります。実データで検証しながら設定を絞り込みました
この種の仕事は、調査と設計判断が絡むため高性能モデル向きです。そして何より、期間が終わったあとも改善効果が残り続けます。コンサルタントが自分の提案書のひな型や業務の型に投資するのと、まったく同じ発想です。
4. 軽い仕事は標準モデルへ、期限後の設定も先に決める
一方で、メールの下書きや議事メモの整理といった軽い仕事は、標準モデルに任せて枠を温存しました。あわせて、期間終了後の設定——継続利用するなら課金上限の確認、しないなら既定モデルを標準に戻す——も先に決めておきました。意図しない課金を防ぐのは、AI活用の基本動作です。
結果:「使い分けの型」という資産が残った
1週間の取り組みで残ったのは、個々の成果物だけではありませんでした。
- ツール連携の無駄な読み込みが減り、日々のAI処理が軽くなった
- 定型業務のAIスキルが安定して動くようになり、手戻りの削減につながった
- 「どの仕事に、どのグレードのAIを割り当てるか」という判断基準が言語化された
特に3つ目は、期間限定開放が終わったあとも使い続けられる「型」になっています。
学び:コンサルタントのAI効率化チェックリスト
今回の実践から、コンサルタント・士業の方が明日から使えるポイントを5つにまとめます。
- ①仕事を「重量級/軽量級」に仕分ける——分析・設計・大規模な整理は重量級、要約・下書き・検索は軽量級
- ②重量級にこそ高性能モデルを使う——往復回数が減れば、タスク単位のコストは下がる
- ③「AIの使い方を良くする仕事」に定期的に投資する——スキルやテンプレートの整備、ツール連携の見直しは、効果が積み上がる
- ④軽量級は標準モデルで回し、運用コストを管理する——全部を最上位モデルで回す必要はない
- ⑤料金・設定変更のアンテナを立てておく——期間限定の開放や料金改定は定期的に起こる。課金設定の確認までがワンセット
問うべきは「どのAIが一番賢いか」ではなく、「どの仕事に、どのグレードのAIを割り当てるか」。AI活用も、経営と同じ資源配分の意思決定です。
まとめ:AI活用は「導入」で終わらせない
生成AIの活用は、ツールを導入して終わりではありません。使い分けの基準を持ち、AIの業務基盤そのものを定期的に手入れすることで、効果は積み上がっていきます。これはコンサルタント自身の生産性にも、ご支援先の企業にも共通する原則です。
ネクサライズコンサルティングでは、生成AI活用の研修や、業務への実装・定着までの伴走支援を行っています。「自社ではどこから手を付けるべきか」といったご相談も歓迎です。お気軽にお問い合わせください。
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辻村裕寛(つじむらやすひろ)代表取締役兼CEO
IT系ベンチャー企業、SIer、コンサルティングファームを経て独立起業。現在は、働きがいと豊かさで次世代が夢を描ける社会を創るをMissionに、企業と働く人々へのコンサルティングを通じて持続的な変革を支援しています。お客様には
①「変化を見抜き価値を創る」コンサルティング、
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