製造業再生の決め手は“泥くささ×データ”――47百万円赤字をゼロにしたKPIツリー構築法【事例解説】


【お客様】

  • 企業名 : 非公開
  • 業 種 : 製造業
  • 事業内容: 機械装置部品メーカー
  • 規 模 : 資本金約30億円・従業員約1000名

【抱えていた課題】抱えていた課題 ― “売上はあるのにキャッシュが残らない”現場の悲鳴

創業1933年の歴史ある製造業ではあるが、ここ数年の売上、利益は下降傾向にあり抜本的な経営の見直しが迫れらている状況にあった。こうした状況を踏まえて会社のビジョンを見直し再生に向けた取り組みに着手、同業他社に競合がひしめく中グローバルニッチトップで今後の成長を実現する枠組みが整備された。一方で、各事業部も会社の方向性に合わせて改善が求められており、成長に向けたKPI設定、KPIを実現するための施策の具体化が求められていた。

  1. 価格転嫁できない取引構造
    当期の営業赤字は 4,700 万円。値上げ交渉が進まない得意先が複数あり、原価上昇分を吸収できずに赤字幅が拡大していました。
  2. ロングテールが倉庫を占拠
    年間売上100万円未満の品種が小形912種・中大形415種。見積り残業とピッキング迷走で“働けど利益なし”状態に陥っていました。
  3. 原価とKPIが“10年前のまま”
    標準原価の母数が古く、実際原価との乖離が読めない――結果として適正売価が算出できず、利益管理がブラックボックス化。
  4. 老朽設備と30%稼働ライン
    熱処理炉は炉ごとに品質ばらつき、故障が頻発。小形チェーン組立ラインでは稼働率30%に落ち込むケースもあり、納期遅延リスクは常態化していました。

作成したフィッシュボーン図(特性要因図)

【コンサルティング内容】― “泥くささ×データ”のハイブリッド支援

工場・営業・企画部門を対象に上記課題を仮説と設定しヒアリング、定量調査により仮説を検証。
真の原因を把握するとともに、課題解決策を明確化し改善に向けたロードマップを策定

フェーズ主な仕掛け具体的なアクション
Week 0 – 2仮説立案徹底したヒアリングによる仮説立案ゼロベースで工場、営業、企画部門のキーマンに複数回のヒアリングを実施。また、それらを裏付けるためのデータ収集と分析を通して仮説を設定
Week 3 – 6現場検証工場、倉庫内を隅々まで確認商品別に生産工程、発生している不良、無駄な同線、設備老朽化状況、在庫状況を把握することで、課題仮説をを現場把握を通して検証
Week 7 – 8KPIツリー再構築売上UP/販管費DOWN/原価DOWNの3層ツリー営業利益+4.4 ptを狙うシミュレーションを提示し、部長陣が枝葉にコミットサイン。
Month 3ロードマップ合宿1日中付箋まみれ
代理店マージン削減、ロングテール縮減、標準原価刷新、設備投資計画を四半期単位で棚割り。責任部署と期限を明文化。
以降“One Team”運営月例KPIレビュー営業・企画・工場が同じダッシュボードを見ながら進捗レビュー。障害が出たらその場でリーダー決定し、翌日までに対策策定。

ワークセッションの様子

【成果】3か月で“火花とキャッシュ”が同時に回り始める

指標着手前3か月後(速報)12か月計画コメント
営業利益率△0.8 pt+3.6 pt+4.4 pt代理店マージン見直しと赤字顧客値上げ第1弾が効奏
中大形生産能力100 %150 %180 %炉メンテ+成形・調質設備増強が稼働率を押上げ
スクラップ率0.149 kg/m‑10 %‑20 %“不良地図”を共有し炉ごとの条件を標準化
特定在庫製品数27品35品50品“在庫即納”アイテムを拡充、納期クレームを4割削減予定
  • 定量効果のハイライト
    • 赤字顧客 47百万円 → 交渉計画により目標 “ゼロ” へ道筋
    • 特殊用途市場の売上構成 8%→12%(+8億円)を見込む

【クライアントの声】― 現場が語る“変化の手応え”

「今回のプロジェクトを通してさらに改善のスピードアップを実現することげできる。工場改革を確実にやり遂げたい。」
—工場長

「ロングテールを切る“判断基準書”ができて、見積もり残業が月30h減。提案に時間を割けるようになったよ。」
— 営業統括課長

「KPIレビューは“問題探し”から“成果自慢”の場になった。チームの空気が明るい。」
— 産機事業部 部長

【まとめ】

複雑に絡んだ 取引構造・多品種少量・老朽設備――これらは単発のコスト削減やシステム導入では解けません。
ネクサライズコンサルティングは、

  1. データドリブンなKPI設計 … 全社視点で“どの数字をどこまで伸ばすか”を明確化
  2. 汗まみれの現場伴走 … 炉の前、倉庫の棚前で徹底的に可視化し、その場で改善策を描く
  3. 部門横断“One Team”運営 … KPIを毎月レビューし、ボトルネックを即日解消

という“三位一体モデル”で、現場が自走する仕組みを築きます。

次の成功事例は御社です。
まずはお気軽にご相談ください。季節・規模・地域の制約を超える成長ストーリーを、共に描きましょう。

辻村裕寛(つじむらやすひろ)代表取締役兼CEO

IT系ベンチャー企業、SIer、コンサルティングファームを経て独立起業。現在は、働きがいと豊かさで次世代が夢を描ける社会を創るをMissonに、企業業と働く人々へのコンサルティングで持続的な変革を支援し新しい価値を創造ことをvisionに掲げ活動しております。お客様には①「変化を見抜き価値を創る」コンサルティング、②「学びで育む次世代の成長」を支える研修講、③「知恵を届け未来を動かす」執筆サービスを価値としてお届けしております。