【お客様】
- お客様 : 大規模公益団体
- 規 模 : 数千人規模、IT部門30人程度。
- 期 間 : プロジェクト関連ルール策定で3ヵ月、PMO活動をその後約2年間
(元所属していたコンサルファームのマネージャー時代の案件:2007年~2010年)
【概 要】複数システム開発を失敗せずに完遂する
インフラ系・業務系を含めて約20システムの開発を、品質(Q)、コスト(C)、納期(D)を守りつつ遂行。お客様組織を支援する立ち位置で、各プロジェクトの顧客PMと連携し、開発ベンダーを管理しつつ、プロジェクト管理とミッションコントロール(当時寄稿したコラムです)の仕組みを構築・運営するPMOとしての役割を担う。
【依頼背景】システム構築の規模が大きく、自社のみでの管理が困難
お客様組織では業務改革に伴うシステム刷新を段階的に進めることとなった。これを複数プロジェクトに分割し、3年をかけて推進する計画だが自社IT部門だけではプロジェクトを管理しきれない為、第3者にプロジェクト管理を委託する必要があった。
【内 容】複数プロジェクトの相互影響を考慮したプロジェクト管理ルールの策定・導入・定着化
- PMBOKをベースに、プロジェクトに最適化した管理ルールを3ヶ月で策定。
- 改革全体の目的を各プロジェクトに落とし込み、ミッションコントロールというコミュニケーションの仕組みを構築。
- 3年間にわたる複数のプロジェクトにそれぞれの管理の仕組みを段階的に導入。
- 全プロジェクトのQCDを一目で把握可能な運営体制を構築し、問題発生時には迅速に対応できる仕組みを確立。
【効果・成果物】全プロジェクトの安定着地と調達費削減
- 【効果】
複数システムの整合性を確保しながらリリースを進め、予定よりも数億円規模の調達費削減を実現。 - 【成果物】プロジェクト管理ルール / ミッションコントロール計画書
すべてのプロジェクトに適用する管理計画書を作成。 - 【成果物】週次プロジェクト管理報告書
全体ロードマップや各プロジェクトのQCD・進捗スケジュールを週次で報告書にまとめる。 - 【成果物】計画したQCDによるプロジェクト完遂
全てのプロジェクトで狙ったQCDで着地。
【プロジェクト事例からの成功・失敗ポイント】
本当に大きなプロジェクトで、PMOのプロジェクト管理チームだけでも8人のメンバーがおり、私はそのリーダーとして参画。ピーク時には、プロジェクトに関与する人員が数百人/月規模に及んでいました。
システム再構築の前段になる業務改革方針は他社コンサルティング会社が実施し、その方針に基づいて組織全体のシステム再構築を推進。ベンダーとの折衝は、強気でロジカルな交渉が必要で、できれば避けたい場面も多くメンタル面ではかなり追い詰められました。そんなプロジェクトを上手く乗り切れたポイントは、
- ベンダーに対しては表向き厳しく振る舞い、遅延、原因、対策を厳しく追及する
- 後方ではベンダー担当者にすみませんと頭を下げつつ連携できる対応策を検討し、お客様組織と事前に交渉し定例会前に問題は解消しておく
- プロジェクトに参画する多くの人たちとコミュニケーションを通して顔なじみになる
- PMOが目指す管理方針を各プロジェクトに均一に情報発信しメンバーの温度差を少なくする
- ルーチン化する作業の中でモチベーションが低下する自コンサルメンバーをケア
の5点に注意して、マネジメント、リーダーシップの両面の顔で活動できたからだと思います。逆に、これはまずかったなという失敗行動があるとすると
- プロジェクト管理・調達時の判断軸がブレてしまいお客様から苦言を呈される
- PMOチームをまとめるために共通敵を無意識に作ってしまい自チーム個別最適をしてしまった
- 長期間にわたるプロジェクトで変化を作れずメンバーのモチベーション低下を招いた
という点です。ここまで大きいとプロジェクトといういよりも、事業部組織運営に類似したスタンスが求められることを認識できました。PMOはマネジメント強化が求められるので、やり過ぎると無味乾燥な活動になりがちですが、やはり人と人が織りなす活動の中では人間味とリーダーシップが基本であることを身を持った学ぶことができたプロジェクトでした。