ピンポーン。
家に鳴り響くインターホンの音。はっと目を覚まし、急いでモニターを確認しに行くと、そこに映っていたのはゴミ回収の人だった。どうやら燃えるゴミの日を忘れていたらしく、わざわざピンポンをしてくれたのだ。急いでゴミ袋をまとめ、明らかに寝起きだとバレる顔面のまま玄関を出て、「すみません」と謝りながらゴミ袋を渡した。
そんな恥ずかしい朝を迎えたわけだが、ここ最近、朝が滅法弱くなった。アラームで起きられたとしても、布団から出るまで30分くらいグダグダしてしまう。「低血圧だから」と言い訳しているが、学生時代は朝5時に起きてアルバイトに向かっていたので、最近の寝坊は単なる甘えなのかもしれない。もしくは抗えない身体の変化か。
ただ、思い返すと、早起きだった学生時代は、昼が壊滅的だった。
13時からの講義は完全に睡魔との戦い。クールタイプの目薬、眠気覚ましに効くツボ、目の周りにメンソレータムなど、あらゆる手段を取っていたが、結局は睡魔に負けることが多かった。
iPhoneの写真フォルダには、ペンを握りしめながら机に顔を突っ伏して爆睡している写真が残っている。ちなみに写真を撮られた時の授業はフランス語。優しく、そして滑らかなあの響きが眠気を助長したのだろう。(いまだに言い訳したい自分が笑える。)
中学・高校時代は、夜の稼働時間が小学生レベルだった。部活で毎日疲れていたのもあるが、21時までには寝床についていたので、流行りのドラマを観ることもなく、夜だからこそ盛り上がる友人とのやりとりにも参加できなかった。
当時付き合っていた人からは「あんまりメールできないね」と文句を言われたが、「眠いんだよ!」と逆ギレ。まずい!と思った私は「あなたのことは好きだけど、睡魔には勝てない」と、よくわからない弁解をしてしまった。
社会人になった今、昼休み後に多少の眠気はあるにせよ、机に突っ伏して寝ることはなくなったし、夜遅い時間まで普通に起きていられるようになった。ただ、遅くまで起きていられるようになったからといって、今さら感がある。
社会人生活には、深夜だからこそ盛り上がるチャットもなければ、甘酸っぱい青春があるわけでもない。たまに赤提灯の店に繰り出す夜はあるが、日常は山積みになった洗濯物を畳んだり、Amazonのセール品をポチポチしたり、そんな程度の時間の使い方。夜更かしの楽しさは、あの頃だけの特権だったのだと実感する。
なので夜更かしはほどほどに、ゴミ回収の人にピンポンされないよう、今日は早く寝たいと思います。
