生成AI時代でも役立つ相手に伝わる資料の作成方法 -1.構想段階で必ず考えておくことー

 生成AIは様々なソフトウェア―に組み込まれてとても使い勝手がよくなってきています。私もChatGPTNotionなどを日々活用して、アイデア出しをしたり、壁打ち相手になってもらったり、資料イメージを掴む時に活用しています。そんな、便利な世の中になってきましたが、自分の想いや読み手が腹落ちする資料を作成するにはやはり相手に伝わる方法を知っておく必要があります。ここでは、生成AI時代でも押さえておきたい資料作成のコツ(構想、文章作成、パワポ資料化等)を複数回に分けて紹介していきます。

ちなみに、前回の「グラフを使って相手に自分の考えをうまく伝える資料化のコツ」もその一部で、資料を見やすくするための方法でした。興味のある方、ご参照ください。

【目次】

1.自分の立場、誰に向けた資料であるかを確認する

2.何を伝えてその結果どう動いてもらいたいかを考える

3.そのために必要な情報を収集する

1.自分の立場、誰に向けた資料であるかを確認する

 これから作成しようとする資料は誰向けであるか明確にします。例えば、

  • 自分は営業部所属で、商品を利用する客様に向けの資料
  • 自分はコンサルタントでお客様の経営層に向けの資料

 自分の立ち位置や相手を明確化することで文書の形や記載する内容が大きく変わってきます。今回の例ではざっくりお客様向け、経営層向けという記載ですが、実際には違った考え方を持つ人が混在しています。業種、業態、年齢などにより相手が求める情報が異なります。消費者向けなのに企業を想定していた、経営層向けなのに中堅層向けに考えていた。最初の段階でボタンを掛け違えてしまうと、資料作成後にすべて作り直すという事態にもなりかねません。まずは、自分の立ち位置と、読み手の明確化が最初の一歩になります。

2.何を伝えてその結果どう動いてもらいたいかを考える

 誰向けの資料であるかを固めた後は、読んでもらった相手に採用してもらいたい行動を考えます。資料を作成する理由は、自分に何らかの意図があり、相手に自分の考えを伝えて、自分が意図する行動をとってもらためです。商品を購入してもらう、自分の考えが異なることを理解してもらう、より便利な方法を伝えてそちらを採用してもらう等、様々な目的が考えられます。先ほどの例で考えると

  • 自分は営業部所属で商品を利用する客様に向けに作成する
    → 紹介する商品のお客様にとってのメリットを理解いただき商品を購入していただく
  • 自分はコンサルタントでお客様の経営層に向けて作成する
    → お客様企業の課題と解決策を理解いただき改善に向けた活動に着手いただく

 読み手に採用してもらいたい行動が明確化できると、何を書けばよいかイメージが湧いてきます。営業部署の場合はお客様が商品を利用しているイメージとそれによる効果を書く。コンサルタントの場合は、お客様が抱えている問題、目指すゴール、その差を埋める活動と、得られる効果を資料化します。ここで陥りがちなのは、自分が伝えたいことだけを書いてしまい、相手が欲しい資料になっていない。その結果、文章を作成して相手に伝えても、自分が想定していた行動に繋がらないという状況に陥ります。注意したい点です。

3.そのために必要な情報を収集する

 読み手に求める行動をとってもらうためには、読み手を腹落ちさせる必要があります。そのためには、どんな情報が必要なのか?いつも読み手はどんな生活、仕事をしているのか?どんな性格なのか、どこに興味があるかなどを想定しながら必要な情報を収集します。例えばですが

  • 自分は営業部所属で商品を利用する客様に向けに作成する
    → お客様の生活スタイル、生活での困りごと、趣味、生活圏などを調べて、自社商品を活かせる場面を収集
  • 自分はコンサルタントでお客様の経営層に向けて作成する
    → 営業利益を改善するために、営業活動での無駄な費用、製造で発生している失敗コストを定量的に把握

こうした情報を集めて、自社商品を使うことお客様の生活が良くなること、解決策を採用することでコストや費用が少なくなることを説明できるように、材料を集めます。こうして集めた情報を使いながら矛盾が無いように資料のシナリオや骨格を作成していきます。

 資料作成の機会はとても多いと思います。しかし、説明したが反応が薄い、思った行動を得られなかったというケースも多いのではないでしょうか?これを書いた本人も実はそういった場面によく出くわします。視野が狭くなり自分の伝えたいことしか書いていない、相手の考えを読み違えていたなどが原因です。そんな時は基本に立ち戻もどってみましょう。また。そんな時にこそ生成AIを使った壁打ちは有効です。自分の立ち位置、伝えたい相手、求める行動、おかれている場面を打ち込みながら、自分の考えと照らし合わせてみる。逆に、最初の段階で生成AIを活用して複数案を確認してから、自分の置かれた状況に資料を調整していく。そんな便利な時代です。だからこそ、やっぱり理解しておきたい構想段階のコツでした。

 こうした資料作成の基礎力養成の研修も可能です。新入社員研修や中堅層に代わる際に今後求められる資料作成力を高める講座も提供できます。興味のある方はこちらからお問合せください。

辻村裕寛

代表取締役兼CEO
CEO中堅企業・中小企業へ経営コンサルティングサービスを提供、中小企業では地域活性化を企画し、公共、金融機関、企業の三方良しになるスキーム作りを得意としています。

東京都台東区の下町生まれ。IT系ベンチャー企業、SIerで約10年、コンサルティングファームで20年弱従事しディレクターになったのちに独立。現在は、中小企業診断士、PMP(プロジェクトマネジメントプロフェッショナル)の資格を活かしつつ、大企業から小規模事業で幅広い業種、分野でコンサルティングサービスを提供。また、コンサルティングノウハウのコラム執筆、講師業なども提供しております。