「社内に知見が貯まらない」。
中堅企業の経営層から、いちばん多く聞く悩みです。
共有フォルダはあります。議事録も残っています。それでも次の案件で、誰もそれを開きません。
一人の自分の会社でも、同じことが起きました。
今回は、うちの知見がどんな仕組みで回っているかを、道具の名前も出して書きます。
貯めることと、思い出せることは違う
第1回で、知見が循環する6つのステップを書きました。
実際に回してみて分かったのは、保存はできていたということです。
できていなかったのは、必要な瞬間に思い出すことでした。
検索は、探すものが頭に浮かんだ人にしか効きません。
「似た案件があった」と思い出せなければ、ナレッジへの糸口はつながらないのです。
脳の本体は、パソコンの中のフォルダ
うちの会社の知見は、すべてパソコンの中のフォルダに文書で置いています。
案件の資料も、読んだ本の要約も、社内の決まりもです。
このフォルダを読み書きしているのが、Claude Code というAIの道具です。
パソコン上のファイルを直接開き、決められた手順に沿って作業します。
AIに渡しているのは2種類の文書です。
会社の決まりを書いた1枚と、会議準備や資料作成といった仕事ごとの手順書です。
手順書はいま20本あまりあります。
変更はすべて履歴に残し、いつ何を直したかをあとからたどれるようにしています。
ナレッジは3つに分けている
ためているナレッジは、3種類です。

- これまで読んだ書籍やメモのまとめです
本や記事は、決まった見出しで要約して残しています。 - 案件から得たインサイトです。
顧客名を業種と規模に置き換え、論点や教訓の形にして残します。 - 方法です。
仕事の進め方を手順にし、「こういうときには使わない」という条件も書き添えています。
大量にためても、索引があれば探せる
ナレッジは、ためるほど探しにくくなります。そこで、3つの棚それぞれに索引を1枚ずつ付けました。
索引には1行ごとに、何が書いてあるか、どんなときに開くかを書いています。
Claude Code は、まず索引を読んで当たりをつけ、必要なものだけを開きます。
全部を読み込ませる必要はありません。書籍の要約が数百点あっても、探すのに手間はかかりません。
人が目録を見るときは、Notionという情報共有の道具を使います。
索引の中身を写してあるので、スマホからも確認できます。正本は、あくまでフォルダ側です。
案件が始まるとき、まずナレッジを開く
いまの使い方は、案件が始まるときにナレッジを確認することから始まります。
「この会社の課題に近いインサイトはあるか」「使える方法はあるか」をAIに当たらせます。
見つかったものは、出典付きで並べてもらいます。
知らない分野は、本を買ってナレッジにする
これまでと違う分野の案件では、手元のナレッジが足りません。そのときは、まず関連する書籍を買い、要約してナレッジに加えます。
あわせて、Deep Research というAIの調査機能で、公開されている情報を幅広く集めます。統計や研究、他社の事例を、出典付きの報告書にまとめてもらいます。
こうして、案件が始まって数日のうちに、その分野の土台がそろいます。
仮説をぶつけ、正しいかまで確かめる
ここからが、いちばん価値のある使い方です。
集めたナレッジに、自分の仮説と検討の方向性をぶつけます。

「この会社の課題は、ここにあるのではないか」という見立てです。
AIには、仮説を支える根拠と、反対の根拠の両方を探させます。
仮説が正しいのか、どこが弱いのかまで、検証できるようになりました。
どの根拠を採るかを決めるのは、最後は人です。ここを任せると、間違いのほうが次の案件で再利用されます。
明日への一歩:自分の仕事のナレッジを整理する
大きな仕組みから作る必要はありません。まず、次の3つを紙に書き出してみてください。
自分の仕事で必要なナレッジは何か。どんな分類がよいのか。どの場面でためて、どの場面で引き出すのか。
分類は、最初から細かく決めなくて大丈夫です。うちも作り直しを経て、いまの3つに落ち着きました。
整理できたら、Claudeでスキルにする
書き出した3つがそろったら、それをClaudeの「スキル」にしてしまいます。
スキルとは、仕事の手順をAIが読める形で書いた手順書です。
「案件が始まったら、この索引を当たる」「新しい分野なら、要約をこの形で残す」。
一度書けば、毎回同じ手順で動きます。
私の実感では、コンサルティング会社で1週間はかかっていた仕事が、
2時間もあれば終わるようになりました。
皆さんも是非、取り組んでみてください。
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この連載では、一人の会社をどう仕組みにしていくかを隔週で書いています。
次回は、部門長が6人いると、判断がどう変わるかを書きます。
3つを書き出そうとして手が止まったら、止まった場所を教えてください。
60分の壁打ちでご一緒します(資料の準備は不要です)。
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