50代でコンサルタントディレクターから不安定な独立を決断

これに関しては正直なところ、ポジティブな理由というより、ネガティブな理由が大きいかもしれません。ただ、同年代の管理職の方にこの話をすると、意外にも同じような悩みを持っていることに気付かされます。

簡単にお伝えすると、これまで積み上げてきた経験が管理職になった途端役に立たない、ステージアップに対して心のギアチェンジがうまくいかない、それによって自分の存在価値が感じられなくなってしまった、そんな状態に陥ってしまいました。

ここからは自分が直面した出来事、自分の心境について時系列で追っていきたいと思います。

【目次】

①コロナで変わった働き方でスケジュールがのり弁に

②コンサルタントを実感していたマネージャー時代

③自分の正直な気持ちに従って決断、自分が好きなコンサルディングをする

④何かが変わった自分

①コロナで変わった働き方でスケジュールがのり弁に

きっかけはコロナ禍。働き方が急変し、リモート会議の日々が始まりました。複数案件の顧客会議、内部メンバーとの会議、マネジメント会議など、数多くの会議をオンラインで捌くことになり、その結果、9:00~20:00まで画面とにらめっこ。outlookのスケジューラーはまるでのり弁のようなぎゅうぎゅう状態。その上、場合によっては同じ時間に3つの会議が重なり、PC2台でふたつの会議に出ることも。今だから笑える話ですが、まさに「二兎を追う者は一兎をも得ず」のどっちつかずの姿勢に気後れすることも多々ありました。

また、顔も声も出さない人たちと四六時中ミーティングすることも多く、聞いているのか?と悶々とした気持ちで会議をファシリテートするのは結構しんどいものでした。そして、タイミングというのは待ったなしで、コロナ禍の真っ只中でディレクターへの昇進が決まり、色んな方と会話する頻度が更に増え、会議も増え、管理業務も増え、UNCONTROLLABLE。

ご想像に難くない、のり弁スケジュール”極み”をいただく毎日が永遠と続きました。
【現役時代のとある週のスケジュール】

②コンサルタントを実感していたマネージャー時代

さて、ここから少し昔話にはなりますが、自分のマネージャー時代について振り返りたいと思います。

当時は出社がデフォルトの時代、現場へ足を運びながら客様と一緒に汗をかきながら案件に精力的に取り組んでいました。成果を出すため必死に努力する日々は決して甘くはありませんでしたが、お客様に感謝されることが面白く、思い返すと楽しい毎日でした。泥臭く、という言葉が適しているかは分かりませんが、地道に課題をヒアリングしたり、お客様を巻き込みながら新しい事業を立ち上げたりと、とにかく現場で頭の汗を流すことが自分のやりがいになっていました。

最近、若手の方が「マネージャーとして働くには自信が・・・」などの後ろ向き発言を耳にしますが、コンサルタントとして働く以上、コンサル現場を仕切りながらサービス提供するマネージャーのポジションこそ、コンサルタントの旨みだと心の底から伝えたいです。

と、昔話に花を咲かせすぎましたが、のり弁スケジュール時代にふと、マネージャー時代のことを思い出してしまいました。忙しい毎日で忘れかけていましたが、本来自分はコンサルタントの仕事が大好きで、現場でバリバリお客様のために動きたい、そんな気持ちが沸々と沸いてきたのです。

③自分の正直な気持ちに従って決断、自分が好きなコンサルディングをする

仕事が少し落ち着いたタイミングで、まずは気の許せる知人に自分の気持ちを相談することにしました。

すると、思った以上に自分と同じような状況の人が多く、自分が感じていたやるせないもどかしさは、それ自体は全く悪いものではない、むしろ自分のやりたいことに気付けて良かったと思えるようになりました。

リモートワークやオンライン会議は、それ自体は全く悪いものではなく、仕事を効率化し、これまで働くことが難しかった方までもが社会参加できる環境を提供してくれました。また、ディレクターの仕事も組織にとっては非常に重要な仕事です。新しい環境で新しい業務にやりがいを感じる方はもちろん多いと思いますが、目まぐるしい変化の中、自分の存在価値をそこに見出すことができなかったのだと思います。

会社勤めによる安定的な収入を投げ出すことは、退職を決める最後の最後まで頭の片隅にありました。ただ、自分が好きなコンサルティングをしてお客様に感謝してもらい対価をもらう、そっちの方が随分健全だと思い、思い切って決断することにしました。

④何かが変わった自分

後日談になりますが、会社を辞めた後、とある友人と食事に行った時のことですが「会社にいた頃と比べると顔が明るいね」と言われました。

確かに、自分が話す内容が会社の愚痴ではなく、これからの自分の事業について語ることが多くなり、改めてこの決断をして良かったと思えました。もちろん、資金繰りで神経をすり減らしているのは事実ですが、それも含めて生きている実感が爆上がりしたのは間違いないと思えています。

折り返し人生に直面している方、これから直面しようとしている方で、少しでも起業や副業など、「自分でビジネスをしてみたい」と思う方がいらっしゃいましたら、是非お声かけください。以前、副業からの独立ノウハウについてのセミナーを実施して好評でした。キャリアで悩んでる方、お気軽にご連絡ください。

辻村裕寛

代表取締役兼CEO

IT系ベンチャー企業、SIerで約10年、コンサルティングファームで20年弱従事しディレクターになったのちに独立。現在は、中小企業診断士、PMP(プロジェクトマネジメントプロフェッショナル)の資格を活かしつつ、大企業から小規模事業で幅広い業種、分野でコンサルティングサービスを提供。また、コンサルティングノウハウのコラム執筆、講師業なども提供しております。

森京

ライター

コンサルタントとして働いている傍ら、ライターの仕事をしています。最近はお家ご飯のクオリティを上げるべく、食器集めにハマっています。